僕は数字を記憶する特技があるが、或る冬のアイスバーンを時間を気にしながら急いでいた。交差点で前が詰まり、ブレーキでスリップし、前車のバンパーの角に接触!。僕は降車して駆け寄り「すみません!お名前教えていただけますか?」、彼「佐藤だ」と言い残して走り去ってしまった。追いかけたが渋滞で見失った。僕は「佐藤さん」、「クルマのナンバー」、「ディーラーさんのステッカー」、「車種」だけは把握していたので、まずはステッカーのディーラーさんに事情を説明して「佐藤さん」の所在をお聞きし、僕の自宅にも近い方だと知った。早速、菓子折を持って彼の勤務先の会社へ伺った。なんと大きなバス・タクシーの会社の部長さんだった。僕「今朝は、大変申し訳ありませんでした」。部長「えっ!あんた、どうしてここが判ったの?・・・」とびっくりしていた。僕「僅かで恐縮ですが塗装代受け取っていただけますか?」と菓子折と一緒に二万円を差し出すと、部長「いいよ、ウチは会社で塗装できるから」と、僕の方へ押し戻した。事故のお詫びのはずが、いつの間にか雑談で終始していた。
事故
スリップ対処法!(自動車学校では教えない?冬道走行)
僕の運転はニュートラルを多用する。特に路面が滑る冬は直線路で信号待ちの為のブレーキング前や、ゆっくり曲がるコーナー、滑る下り坂などでは、シフトは N(ニュートラル)にする。Nと言う事はエンジンからタイヤへの駆動を絶つ事だから不安に思う人もいるかも知れないが、タイヤ回転速度が早すぎても遅すぎてもスリップする。つまり「自然に転がっている状態」が氷雪路では滑らず理想の走行と言う訳だ。μ(ミュー)だの、慣性だのと難しい説明より、クルマのタイヤを別なものに置き換えて説明すれば理解できると思う。四角い消しゴムを下敷きの上に置いたとする。乾いた下敷きの上では消しゴムは摩擦抵抗が高い為、押しても滑らない(夏の条件)。では下敷きを水で濡らしたらどうだろう?(冬の条件)消しゴムも濡らして指で押せば滑って行く。でも、消しゴムを「パタン!パタン!」と90度づつゆっくり回転させれば滑らず接地して前後に進む事ができる。タイヤは丸く接地面は少ないが、滑る前に接地面を置いてゆく消しゴムのように、氷雪路に転がせばスリップはしない。転がすには一旦、エンジンからの駆動力を切り離す。カーブでもNで惰性で回ることで横滑りを防げる。ただし速度によっては車重からの慣性が働き横滑りするから、手前の直線路でのスピード・ダウンが必須条件だ。N状態でのブレーキングでもABSは作動するし、急な時以外は、ブレーキ・ペダルを柔らかく踏めば止まってくれる。下り坂で滑りやすい路面で、ともすればシフト・ダウンして「エンジン・ブレーキを」と考えている人も多いが、これがスリップする。Nにしておいて、時々ブレーキングでスピード・コントロールしたほうが安心だ。
川に落ちそう!(でも落ち着いて・・・)
秋の夜、思い立って石狩市花川の辺りへ小学生の息子を乗せ、スバルのツーリングワゴンでススキの穂を取りに出かけた。仕事で何度も通る農道の裏道に丁度手ごろなススキの穂を見つけた。横に川が流れている草むらの土手の横道にバックで侵入した、その時!右後輪が濡れた草でズルズル滑って土手の路肩を踏み外し、クルマのフロントが空を向く形でようやく停まった。当然ながら左前輪も浮いた形で、グラグラした状態の運転席で下手に騒げば2m以上もある川に転落するかも知れないと、サイドブレーキをいっぱいに引き、「絶対に動くな!」と息子に言って運転席ドアを恐る恐る開け、川に下りた。人家の無い小雨の中、時折通るクルマに手を挙げても誰も停まってくれず、付近を物色。電柱ほどの丸太があったので必死に運び滑落した右後輪側に斜めに渡して運転席に乗り4WDレンジでゆっくり脱出を図ったが、右後輪は濡れた丸太の上を空回り。こうなれば「牽引しか方法がない!」とは言え、ポケットベルしかない時代、しかも夜の10時は過ぎようかと言う月明かりの農道を走って一軒の民家の呼び鈴を押した。そのお宅では既に家族の就寝時間だったが、事情を説明して運よく電話を借りることができた。知り合いの整備工場の社長に電話で牽引をお願いし1~2時間後無事救出して貰った。助手席の息子は既に眠ってしまっていた。空に向かって傾いたクルマのフロントガラス越しに見た風情の無い「中秋の名月」だった。
気をつけよう!(タクシーとの事故)
僕はタクシーとの事故を二度経験したが、二度とも苦い思いをした。一度目は吹雪の中の大通を走行中に交差点に入った状態で前が詰まり信号が変ってしまった時だ。クラクションを鳴らされバックすると、トンと何かにぶつかった。ドアミラーには雪がびっしりくっついて後ろが見えなかったところにタクシーが急接近していたのだ。運転手『どこ見てるんだ!』、僕『すいません、雪で見えなかったもので・・・』、2台で近くの交番へ行った。運転手『この人が猛スピードでバックして来たのさ!』、僕『ゆっくりさがっただけですけど?』、運転手『首が痛いみたいなんだ』、僕『そんな衝撃ならクルマも両方とも引っ込んで、僕も鞭打ちだよね。エアバックも開いていないし・?』、警察官『コン!と接触したようだね』と笑っていた。一部始終保険屋さんに報告した。二度目は片側二車線の幹線から右折して小路に入ろうとしたが、タクシーが出てきたので少し曲がりかけの状態で一時停止し待機。タクシーは左右確認していたが、前を見ずに直進し、僕の運転席側ドアに右バンパーからぶつかって来た。運転手は乗客を降ろして車の中。僕が近づいて窓ガラスを開けさせ『どこ向いて運転してるんだ!』と、運転手『今、会社に連絡したのでこっちに着くまで待ってもらえますか・・』と。その後、運転手は口を閉ざしてしまった。当事者同士で話すべきところを会社に委ねた運転手に腹が立ったが、その事故処理担当者がやってきた。担当者『あんた、これから〇〇交番に行くので、後で来て』と。〇〇交番に行くと既に担当者が事故報告を済ませていた。してやられた!また有る事無い事を先手報告したに違いない。停まってあげているところに一方的に突っ込んで来たタクシー運転手が100%悪いに決まっているし、当事者ではない者が事故報告もおかしい。担当者『ウチは塗装工場もあるからウチで治しますよ』と。どうせ焼付けもいい加減な天婦羅塗装でごまかされるのを知っていた僕は『いいえ、お断りします!自分のディーラーさんから請求させていただきます』と。その間代車を貸すと言うので借りてみた。セドリックの旧型で案の定、あちこち補修痕を見ると天婦羅塗装で引っかけば剥がれるほどお粗末だった。保険会社からは、公道上での事故は100対0%はありえないと言われたが納得できず最後まで食い下がったが事例がないとの事で90対10%とされた。タクシー会社からはタクシーの補修代の請求が来たが一切見ずに破り捨てた。その後音沙汰なしだった。タクシー会社は台数が多く無保険車で、その都度事故処理をしているらしい。しかし、不幸中の幸いで、助手席に小学生の息子を乗せていたが運転席側でなくて良かったと思った。