あまりにも暑い日で、庭に水でも打って、少しでも涼しくと、洗車もしながらホースで水を撒いた。夕方にも水を打って庭が少々ぬかるみ状態になったほどだ。寝室は1階だが、夜も寝苦しいので、この際、戸締りせずに網戸のままで寝ることにした。深夜2時頃、網戸を開けるかすかな音で目が覚め、寝ぼけ眼で見ると、何と人影がリビングから入って来た。眠い僕はなかなか起き上がれなかったが叫んだ『コラぁ~!』。相手は後ずさりして庭に出て『ペタペタ』音を立てて逃げ出した。近くにあったカメラの1脚の棒を片手に追いかけた。逃げ足が速く空き地の倉庫の影に消えた。朝、庭を見ると夕べ撒いた水でぬかるんだ庭の土に靴の足型がハッキリ残っていた。すかさず僕は閃いて石膏の粉と周りを囲う容器を持ち出し、水に溶かした石膏を足型に流し込んだ。しばらくして乾燥した足型が出来たので、それを持って交番に向かった。『おマワリさん!泥棒です。足型もとってありますから』と言えど取り合ってくれず『何か被害はありましたか?』と以外にも開き直られた。『別に?未遂は事件にならないんですか?』。少しもラチが明かないので、届けは取り下げ『自衛します!』と言って『足型』を持ち帰った。庭のクルマのカギ穴にドライバーを突っ込んで開けようと試みた形跡も見られたので、今度は寝る前に辺りに細いテグスを張りめぐらせ、引っ掛ければマサカリが上から降ってくると言う仕掛けにした。ヤツもマサかマサカリが降って来るとはマサに想定外だろう。残念ながらその後は現れなかったが、もし、現れてまんまとワナにハマり、頭にマサカリが刺さったとしたら?と、冷静に考えれば、マサカリはやり過ぎか?マキビシか、ケンザンくらいにしておいた方が良かったのかも知れないと今は反省している。それから僕は昔習っていた剣道の木刀を枕元に置いて寝る事にした。『男はつらいよ!』