建設機械や農業機械や林業機械や除雪機械のカタログ制作をしたことがある。ディレクター兼カメラマン兼制作マンの僕は、営業から撮影からデザイン制作から印刷管理まで一人でこなしている。以前、聞いた話だが、有事の時には国の命令で建設機械メーカーの工場生産ラインが戦車などの製造ラインに、即切り替わるようになっているらしいと。僕達は戦車=自衛隊のクルマにくらいしか捕らえていないが、最近の世界情勢や、国の姿勢を見るにつけ他人事ではなくなっている気もする。徴兵制度のない国「日本」。かつては戦争の好きな軍部が牛耳っていたため平気で大国に立ち向かっていた。日本の国技柔道も相撲も現代では外国に取られた形だが、小さい身体で大きい敵を倒すのが醍醐味とは言え、オリンピックも大相撲も外国人との体格の差があり過ぎるためほとんど勝ち目が無い。戦争も同じで資源や経済力など物量の差が結果を決める。最近不穏な周辺国の動きや威嚇にさらされるのも70余年前までの日本のイメージが今も強く残されているからかも知れない。自衛隊の戦車や装甲車や移動砲などの特殊車両のカタログを作成したことがあるが、撮影のため整備工場を訪れた。早朝に車検のため戦車が2台入庫するとのことで解体前の写真撮影が目的だった。大型トレーラーに積載された戦車がやってきた。さあ、仕事だと戦車のボディを見て愕然とした。弾傷だらけ・泥だらけのイメージが一転!落書きだらけだった。極めつけは「SEX」と大きく赤いスプレーで描かれていたからだ。国の車両にこんな落書きが許される国なんだと、僕はその場で撮影をやめてしまった。アメリカの戦闘機にはジョークや漫画のイラストが描かれていたが、日本もまさか?時代は変った。こんな戦車を見たら敵は何て感じるのか?日本語を知らない相手であって欲しいと願った。あの戦車たちはその後バラバラに解体されて6ヵ月の車検整備を終え、再び演習場の山の中を駆け巡っているのだろうか?萌え戦車(燃え戦車)?痛戦車になっていなければいいが。