クルマ好きなら、当然知っている?だろうが、レーシング・ドライバーやラリー・ドライバーのテクニックで「ヒール&トゥー」がある。ヒール(かかと)でアクセルを床まで踏み込んだまま、トゥー(つま先)でブレーキ・ペダルを踏む。つまり右足一本で二つのペダルを操作する。アクセルは絶えず全開で、ブレーキングの強弱をつま先でコントロールし、コーナーなどでパワーを落とさず曲がり、素早く立ち上がるテクニックだ。レースではコーナーでの減速をブレーキでコントロールするが、エンジンの回転はいつも最高に保っていなければ曲がり終えた直後のダッシュができない。だから、エンジン回転は落とさずブレーキ・コントロールと若干のステア操作だけで曲がる。でも、今のクルマ(BMWなども)はコンピュータ制御で、駆動輪がグリップを失って空転したら勝手にエンジン出力を抑えてくれたり?お尻を振ったら、勝手に後輪に交互にブレーキを掛けたり?横Gが働いてすべると自動的にカウンター・ステアを当ててくれたりと、安全運転のためのコンピュータ・システムが標準装備されている。こんな便利な時代になる以前には、かなりシンプルなクルマが多く、クルマ好きなら誰でも「ヒール&トゥー」を体験できた。もちろん公道では危険行為だが、ストレス発散にタイヤを鳴らしてセカンド発進をしたり、タイヤを滑らせて流しながら曲がるドリフトやクルマをまるで馬のように扱っていた。クルマの進化とともにテクニックをコンピュータが補ってくれ、余計な神経を使わなくても良い時代に入っている。まもなく自動運転システムも一般車に搭載されるのだろう。最後に、慣れないヒール&トゥーは、足がツルから止めたほうがいい。